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小雨が降る中ですね、試聴機を返却しに行きました。
担当の店員が席空けだったので、社長と思われる人が対応してくれました。
話の流れでSTAXに話が移り
「ほほー…SATXか。これもまた他のヘッドフォンとは違う音出すからね。コンデンサー型はいい音出しますよ。ベールが一枚はがれたような音がね。(カタログをめくりつつ)あ、今は結構安いね。カナル型もあるのか。昔はたくさん売ったものですよ…」
なんだか妙な方向に走り始めましたが、面白そうなのでそのまま聞いておきましょう。
数十年前、STAXは本業のコンデンサー型ヘッドフォンを造る傍らで、パワーアンプの類も造っていたそうです。
評判は上々、非常によく売れていたとのこと。もちろんヘッドフォンも。
…それならどうして今、店頭にデモ機を置かないのかと思いましたが、話はまだまだ続きます。
「昔はハイエンドの類がよく売れていてね」
折しも昭和40年代。オーディオブームの最中。
当時はALTEC、JBLが幅をきかせる時代。
「ほら、当時は車をあまり買わなかったから、みんなローンを組んでJBLのモニターを買っていったのさ」
6畳間の社員寮に4343を押し込んで大爆音というのは決して珍しい事ではなかったそうで。寝る場所もありません。
当時毎週の様に評論家を呼んではイベントを行っていたそうです。
土曜日のイベントは深夜まで及び、
「一番長かったイベントはねぇ。翌朝の5時までだったかな。酒飲みながら。」
「当時は100メートル離れたところでも聞こえる位の大音量でね」
500W位ぶち込んだそうです。当時500Wを吐き出せるパワーアンプがあったかどうかは知りませんよ? まあ自慢話の一種だと思って来ていれば良いかと。
機器の試聴イベントにとどまらず
スピーカーの制作講座や
レコードプレーヤーの制作講座(フォノモーターとトーンアームを納めるドンガラを自作)
等のイベントも精力的に行っていたそうで。当時の時代を示す残骸として、トーンアームの中に仕込むリード線が倉庫に眠っているそうですが、今となっては使い道がないとのこと。
規模もすごい。今はイベントがある数日前にDMが届くのですが、当時は店先にチラシを張り出すだけで満員御礼。
生録のイベントなんかも開催したそうです
なんとオープンリールデッキを背中にしょってご来店。
まあデッキがそれしかなかった訳ですが、それにしても、根性が違う。
しかも10インチのテープが使用可能な本格仕様。
TEACとアカイは当時から業界トップクラス。飛ぶ鳥を落とす勢いだったそうで。
残念ながら他にも客はいるわけで。
ひとしきり話をして他のお客の方に。
私に言って聞かせるというよりは、私をダシにして昔を懐かしんでいるようにも見えましたが、こういう話はなかなか聞けないので貴重です。
真夜中に大爆音でも文句が来ないおおらかさ、多種多様なメーカー。
いろいろな意味で白熱した時代。
ちょっとうらやましい…